初めて見る人にも。
Webサイトまで来た人にも。
一度問い合わせた人にも。
同じ広告を見せている。
それで成果が出ているなら、必ずしも問題ではありません。
同じbrand messageを繰り返すことで、少しずつ覚えてもらえることもあります。
でも私たちは、広告クリエイティブを作るとき、「この人に何を見せるか」だけではなく、「この人は、すでに何を知っているか」も考えます。
まだ会社名も商品名も知らない人。
動画を見た人。
Webサイトや商品ページまで来た人。
比較しているかもしれない人。
一度問い合わせた人。
すでに顧客になった人。
知らない人に必要な説明と、迷っている人に必要な説明は、同じとは限らないからです。
01.同じ人に、同じ広告を見せ続けない。
広告クリエイティブは、何本作ればいいのか。
この質問にも、先に決められる答えはありません。
今回考えたいのは、本数ではなく役割です。
初めて商品を見る人に、その存在が伝わる広告。
少し興味を持った人の、次の疑問に答える広告。
購入や問い合わせを迷っている人の、不安を減らす広告。
既存顧客だから意味がある、新しい情報を伝える広告。
これは、「認知にはこのバナー、リターゲティングにはこのバナー」というテンプレートではありません。
今この人には、次に何を伝える必要があるのか。
その問いから広告訴求を考える、私たちのクリエイティブ設計です。
02.人によって、すでに知っていることが違う。
初めて見る人は、会社名も、商品名も、違いも知らない可能性があります。
いきなり細かな料金条件や専門的な比較表だけを見せても、そもそも何の話か分からないことがある。
何の商品なのか。
誰のためのものなのか。
何が変わるのか。
どんな場面で使うのか。
印象的なvisualとともに、理解するための入口が必要な場合があります。
一方、一度動画を見た人や、広告に反応した人、プロフィールを見た人は、もう商品の存在を知っているかもしれません。
その人へ、最初と同じ説明だけを延々と繰り返すのではなく、次の疑問に答えることを考えます。
何が違うのか。
本当に自分向けなのか。
どう使うのか。
実際に何が変わるのか。
知っていることを、もう一度説明しない。
もちろん、覚えてもらうための反復を否定する話ではありません。すでに伝わっていることだけで広告を終わらせない、ということです。
03.Objectiveと、人との距離は別の話。
Meta広告には、Awareness、Traffic、Engagement、Leads、Salesなどのobjectiveがあります。
Meta公式は、objectiveを、広告主が達成したいbusiness goalをauction systemへ伝えるものとして説明しています。システムは、選ばれたobjectiveに関連するactionを取りやすい人を探します。
ここで、objectiveと人との距離を混同しないようにします。
Awarenessだから、初めて知る人だけ。
Trafficだから、検討中の人だけ。
Salesだから、購入直前の人だけ。
そういう一対一の対応ではありません。
Meta公式のSales objectiveは、新しい顧客をWebサイトへ導き、add to cart、registration、checkoutなどのspecific conversion eventsへ最適化する用途を説明しています。Salesで新規顧客へ配信することもあります。
Awarenessの公式ページも、reachやad recall、video viewsだけでなく、既存顧客とのつながりを保ち、loyaltyやsalesにつなげる役割に触れています。
Objectiveは、何を成果として探してもらうか。
人との距離は、その人へ何を伝えるか。
関係はありますが、同じ軸ではありません。
04.初めて見る人と、Webまで来た人。
Webサイトや商品ページまで来た人には、何らかの関心行動があった可能性があります。
でも、Web visitは、購入意向の証明ではありません。
たまたま開いたのかもしれない。
仕事のために調べているのかもしれない。
価格だけを確認して、まだ考えていないかもしれない。
行動は、心理状態を考えるsignalの一つです。Metaが一人ひとりの気持ちを完全に理解しているわけでもありません。
その前提で、Webまで来た人には、商品detail、Difference、use case、case study、Price、Offer、FAQ、objectionsなど、入口とは違う情報を伝えることがあります。
すべてを一枚へ詰め込むのではありません。
今、何を知れば判断が少し進むのか。一つのCreativeへ持たせる役割を考えます。
Cart、Lead form、商品閲覧など、より深いactionがあった人にも同じです。
もっと魅力を叫ぶより、delivery、guarantee、availability、proof、procedureなど、最後に残っている不安へ答える方がよい場合があります。
ただし、イベントが発火したから購入直前だと断定はしません。
05.「次に何を知りたいか」を考える。
Creative設計は、広告を何種類作るかだけではありません。
何を、どの順番で理解してもらうかでもあります。
商品の存在。
使う場面。
他との違い。
使ったあとの変化。
実績。
不安への答え。
それぞれは、同じ商品について話しています。でも、情報の役割は違います。
同じ商品でも、次に伝えることは同じではない。
ただし、一人のユーザーへ広告A、B、Cが必ずその順番で届くわけではありません。
Meta広告の配信はauctionとoptimizationによって決まります。私たちが、すべての広告シーケンスを完全に制御できるわけではない。
だからこそ、どれか一つを見ても意味が伝わりながら、別のCreativeを見たときには理解がもう一歩進む。そんな役割の違いを考えます。
06.Retargetingは、追いかけることではない。
Meta公式は、customer list、Pixel data、SDKなどからCustom Audienceを作成できると説明しています。
site visit、product view、purchaseしていない人など、specific actionsをもとにAudienceを作り、customer journey上の位置にrelevantな広告を作るという考え方も示しています。
Retargetingは、一度来た人へ同じ広告で追いかけ続けることではありません。
すでに接点があるからこそ、次に意味のある情報を考えることです。
既存顧客なら、repeat purchase、new product、additional service、update、event、loyaltyなど、新規向けとは違うmessageが考えられます。
購入済みの人へ新規獲得offerを見せたくない場合、Custom Audience exclusionsを利用できるケースもあります。MetaのAdvantage+ audience公式ページでも、custom audience exclusionsはAIが越えないcontrolの一つとして案内されています。
ただし、既存顧客を獲得campaignから除外するかは案件によります。常に除外するというルールにはしません。
Retargetingも万能ではありません。小さなAudienceへ大きなbudgetを使えば、同じ人への接触が増える可能性があります。前のSTORY、「人は、広告を何回見れば動くのか。」で扱ったように、Frequencyは成果と一緒に見る必要があります。
そして、Retargetingだけでは新しい接点は増えません。まだ知らない人と出会う広告と、すでに接点がある人へ伝える広告は、役割が違います。
07.同じSalesでも、Creativeの役割は違う。
同じSales objectiveの中にも、役割の違うCreativeを置くことがあります。
商品の存在を一瞬で理解させる。
使用シーンを見せる。
違いを説明する。
不安を減らす。
実績を見せる。
Salesだから、すべての広告で「購入してください」とだけ言うわけではありません。
STORY 09、「その広告、本当に枯れたのか。」では、MetaがPerformance 5でCreative diversificationを重視していることを書きました。
多様なCreativeは、色違いや画像違いだけではありません。
伝えている情報の役割が違う。
人が動く理由や、次に知りたいことが違う。
それもCreative diversificationを実務で考えるときの一つの視点です。
広告を変える理由は、古くなったからだけではない。違う情報を伝える必要があるから変えることもあります。
08.広告は一本道には進まない。
認知、興味、比較、購入。
図にすると、きれいな一本道になります。
現実は、もう少し行ったり来たりします。
広告を見て、その場で購入する人がいる。
何度も見てからWebへ行く人がいる。
Webへ行って戻る人がいる。
SNSの情報だけで判断する人がいる。
一度離れて、数週間後に検索する人がいる。
既存顧客が新しい商品を初めて知ることもある。
customer journeyは、全員が同じ順番で進むfunnelではありません。
動画を50%以上見たから検討層、商品ページを見たから購入直前、と心理状態を決めることもできません。
行動をsignalとして見ながら、決めつけない。
前のSTORY、「Meta広告は、ターゲットを決めるより、見つける。」で書いたように、MetaのAIへ任せる部分と、人間が意図して分ける部分のバランスを考えます。
Advantage+ audienceでは、Custom Audienceや興味関心などの入力がsuggestionとして扱われ、performance改善が見込める場合には、より広く探索することがあります。
これは、Audience設計が不要という意味ではありません。逆に、行動ごとにすべてを細分化し、manual retargetingだけに閉じるという意味でもない。
Audienceを細かく分ければ、pool、delivery、budgetとのバランス、data volumeも変わります。
人との距離を考えることと、配信対象を細かく制限することは、同じではありません。
09.次に伝えることを変える。
広告を何本作るか。
それも大事です。
でも、本数より先に、何を伝える広告なのかを考える。
初めて会う人にする話。
少し興味を持った人にする話。
購入を迷っている人にする話。
一度購入した人にする話。
同じ商品でも、話す内容は変わります。
広告も同じです。
私たちは、違うCreativeを作るために、違うCreativeを作るのではありません。
次に必要な情報が違うから、伝える内容を変えます。
