Meta広告の「最適化」には、なぜか安心感があります。
AIが良い配信先を探して、正しい人へ広告を届けてくれる。
管理画面の数字が良くなれば、配信も良くなっているように見える。
Metaは、実際にとても優秀です。
限られた予算と時間の中で、人間には追いきれない数の組み合わせを見ながら、広告を動かしていく。
私たちも、その力を使っています。
でも、その最適化によって、広告が本来の目的から少しずつ離れていく場面も見てきました。
問題はMetaではありません。
Metaが最適化している数字と、企業が本当に欲しい成果が、必ずしも同じではないことです。
01.数字は良くなった。でも、誰に届いている?
CPCが200円から100円になった。
CTRも上がった。
クリック数も増えた。
Meta広告の管理画面だけを見れば、改善です。
けれど、クリックした人が、そのまま買う人とは限りません。
問い合わせをする人とも、商談になる人とも、契約する人とも限らない。
クリックを増やすことが目的の広告なら、CPCが下がることには意味があります。
ただ、その広告の先に購入や契約があるなら、手前の数字が良くなったことと、事業の成果が良くなったことは分けて見た方がいい。
私たちは、管理画面がきれいになったときほど、そのクリックの先を見るようにしています。
02.安いクリックが、良い顧客とは限らない
クリックを成果として最適化すれば、広告はクリックしてくれそうな人へ寄っていきます。
それ自体は、間違いではありません。
設定された広告 最適化の目的に対して、Metaが正しく動いているということです。
でも、安くクリックしてくれる人が、企業にとって価値の高い顧客とは限りません。
CPMが高い層を、「高いから悪い」とも考えません。
CPMやCPCが高くても、CV率が高いことがあります。
商談化率や成約率が高いこともある。
購入単価が大きいこともある。
反対に、CPMもCPCも安く、クリックは大量に集まったのに、ほとんど買われないこともあります。
管理画面は改善している。
でも、顧客からは遠ざかっている。
広告では、そんなことが起こります。
03.Advantage+は、設定の外側も探索する
Meta Advantage+は、AIと自動化によって、audience、配置、予算などの広告運用を最適化する仕組みです。
私たちは、Advantage+そのものに問題があるとは考えていません。
たとえばAdvantage+ audienceについて、Meta公式は、広告主が設定したaudience suggestionsに合う人を優先したあと、成果の改善が見込める場合には、年齢、性別、興味関心、行動、カスタムオーディエンスなど、より広い範囲も探索すると説明しています。
一方で、最低年齢、地域、言語、カスタムオーディエンス除外など、広げない条件をaudience controlsとして設定できるとも案内しています。
だから、設定したターゲティング以外に広告が出たことだけで、「Metaがおかしい」とは言えません。
意図していなかった人が実際にCVし、その後も顧客になっているなら、これまで気づかなかった層を見つけている可能性があります。
逆に、CPCだけが安くなり、本来欲しかった顧客から離れているなら、考え直したい。
重要なのは、誰に出たかだけではありません。
その人が、その後どうなったかです。
04.Advantage+は「正しい顧客」を知っているわけではない
Meta公式は、Advantage+を、設定したキャンペーン目標に合わせてパフォーマンスを高めるAI・自動化の製品群として説明しています。
それは、「企業にとって正しい顧客」を、何も渡さなくても自動的に理解するという意味ではありません。
Metaは、設定された目的と、受け取ったシグナルをもとに最適化します。
クリックを成果として学習する設定なら、クリックしやすい人を探す。
浅いコンバージョンだけを返していれば、そのコンバージョンを起こしやすい人を探す。
その先にある、
- 有効リード
- 商談
- 成約
- 売上
をMetaへ渡していなければ、Metaの最適化は、その事実を材料にはできません。
Metaが間違っているのではなく、渡された目的に対して正しく動いた結果が、企業の目的とはずれることがあります。
05.下流のデータを、最適化へ返す
Meta自身も、広告管理画面より先のデータを最適化へ使う考え方を案内しています。
Advantage+ leads campaignsの公式ページでは、CRMをMeta Conversions APIへ接続し、conversion leads のperformance goalを使うことで、コンバージョンする可能性がより高いリードへキャンペーンを最適化する方法が紹介されています。
Conversions APIについても、サーバー、Webサイト、アプリ、CRMなどのマーケティングデータとMetaの広告最適化システムを直接つなぐ仕組みだと説明されています。
購入後の行動、店舗での行動、customer scoresなど、カスタマージャーニーの後ろ側にあるイベントを広告 最適化や計測に使える場合がある。
ここで大事なのは、「Metaに任せるか、人間がターゲティングするか」という二択ではないことだと思っています。
人間側が、何を成果として返すのかを考える。
Metaには、より事業成果に近いシグナルを渡す。
そのうえで、Metaの最適化を使う。
もちろん、利用できるデータや実装方法は企業ごとに違います。Conversions APIを入れれば自動的に正しい顧客だけへ届く、という話でもありません。
06.意図しないターゲットへの配信は、失敗なのか
想定していなかった層へ広告が出た。
だから、すぐに除外する。
この判断も、ときどき危ないと思っています。
実際には、その層の方が購入していることがあります。
反対に、想定していたターゲットへきれいに配信できていても、まったく買われていないこともある。
私たちが見たいのは、
誰に配信されたのか。
誰がクリックしたのか。
誰がCVしたのか。
誰が商談になったのか。
誰が買ったのか。
という、一連の流れです。
ターゲティングが想定どおりだったかだけでも、CPAが安かったかだけでも、最後までは分かりません。
07.広告管理画面の中だけで、広告を評価しない
CPM。
CTR。
CPC。
CVR。
CPA。
どれも重要です。
私たちも毎日見ています。
ただ、どれも途中経過です。
CPCが半分になっても、受注が半分になれば意味がない。
CPAが上がっても、成約率や顧客単価が大きく上がっていれば、事業成果としては改善している可能性があります。
広告の数字は、きれいに良くなることがあります。
その方向が、企業の欲しい成果と違っていても。
間違った方向に、正しく最適化される。
これが、私たちがMeta広告の最適化を見るときに、いちばん気をつけていることです。
08.私たちは、顧客になるところまで見る
最適化を信用しない、という話ではありません。
何を最適化させるのかを、人間側が考える。
広告管理画面の数字が良くなったことを、そのまま広告が良くなったとは考えない。
Metaが何を最適化しているのか。
その結果、誰に広告が届いているのか。
そして、誰が顧客になっているのか。
私たちは、そこまで見ます。
広告キャンペーンを使って見込み客をどう発見し、どう積み重ねていくのか。
最適化をどう設計するかは、また別の話です。