2019年、このサイトに「ゼロクリック50%超えの時代」という記事を書きました。

検索結果を見ただけで答えが分かり、Webサイトをクリックせずに検索を終える。

そんな「ゼロクリック検索」が50%を超えた、という話から始まる記事です。

当時の私たちは、

クリックされなくても、検索結果の中でどう見つけてもらうか。

SNSなどを使って、ブランド名やサービス名そのものを検索してもらう行動をどう作るか。

そんなことを考えていました。

あれから7年。

今、検索結果にはAIが答えを書くようになりました。

改めて読み返すと、

ゼロクリックの話は終わるどころか、ずっと先まで続いていたようです。

01.クリックしない検索は、珍しいものではなくなった

2024年にSparkToroとDatosが公開した調査では、Google検索のうち、米国で58.5%、EUで59.7%がクリックなしで終わったとされています。

2019年当時とは調査方法もデータセットも異なるため、数字をそのまま比較することはできません。

それでも、

検索してもWebサイトへ移動しない。

という行動そのものは、今も珍しいものではなさそうです。

そして2024年以降、そこにAIによる回答が本格的に加わりました。

Google SearchにはAI Overviewsが入り、AI Modeも広がりました。

2026年5月、GoogleはAI Modeの月間利用者が世界で10億人を超えたと発表しています。

検索する。

リンクを選ぶ。

ページを開く。

答えを探す。

この順番を踏まなくても、

検索した場所で、そのままかなりのところまで答えが返ってくる。

2019年に見ていた「ゼロクリック」は、2026年には少し違う形になっています。

02.AIが答えると、人はクリックしなくなるのか

ここは、単純には言い切れません。

Pew Research Centerが米国の成人のブラウジング行動を分析した調査では、AIによる概要が表示された検索で通常の検索結果をクリックした割合は8%。

AIによる概要が表示されなかった場合は15%でした。

AI概要に掲載された情報源そのものへのクリックは、かなり少なかったとされています。

これだけを見ると、

「AIがWebサイトへのクリックを減らしている」

ように見えます。

一方でGoogleは2025年、検索からWebサイトへのオーガニッククリック総量は前年と比べて概ね安定しており、すぐ検索へ戻らないような「質の高いクリック」はわずかに増えている、と説明しています。

どちらか一つだけを見て、

「SEOは終わった」

とも、

「何も変わっていない」

とも言わない方がいいと思っています。

検索結果に表示されることと、 Webサイトへ来てもらうことが、 以前より別の出来事になっている。

たぶん、ここは以前よりはっきりしました。

03.「クリックされたか」だけでは、見えなくなってきた

これは仕事をしていても感じます。

検索結果に会社名が出た。

Googleマップで店舗を見つけた。

Instagramで何度か見た。

ショート動画で商品を知った。

AIに聞いたら、その会社の名前が出てきた。

そして数日後、会社名を直接検索した。

こういう動きは、一つのアクセス解析だけではきれいにつながりません。

最後にWebサイトへ来た経路だけを見ると、

「Google検索から来た人」

に見えるかもしれない。

でも、その前にSNSを3回見ていたかもしれません。

逆にWebサイトを一度も開かず、Googleマップだけで電話をしたかもしれない。

AIの回答だけを見て、名前を覚えた人もいるかもしれません。

クリックは大事です。

でも、

クリックされなかったから、何も起きなかった。

とも言い切れなくなりました。

04.7年前に書いた「On-SERP」は、もっと広くなった

2019年の記事では、検索結果ページそのものを使う「On-SERP」という考え方を書いていました。

Webサイトへ来てもらう前に、

検索結果の中でどう見えるか。

そこに価値があるのではないか、と。

2026年なら、この範囲はもっと広いと思います。

Googleの検索結果。

Googleマップ。

SNSの検索結果。

ショート動画。

AI Overviews。

AI Mode。

AIチャットの回答。

情報が見つかる場所が増えました。

そしてGoogleは2026年6月、Search ConsoleでAI OverviewsやAI Modeなど、生成AI機能の中でサイトがどのくらい表示されたのかを確認できる専用レポートの試験提供を始めています。

クリックだけではなく、

どこで存在を見つけてもらったのか。

そこまで見る時代になってきたのだと思います。

05.それでも、Webサイトを作る

ここは、STORY 03の「情報の最適単位」ともつながります。

検索結果だけで情報が分かる。

SNSだけでも情報が届く。

AIも答えてくれる。

だったらWebサイトはいらないのか。

私たちは、そうは考えていません。

Webサイトには、

自分たちが何を考えていたのかを残しておける。

仕事をしていて実際に分かったことを残しておける。

昔の考えと、今の考えを比べることもできる。

この記事自体がそうです。

2019年の文章が残っていたから、7年後の今、もう一度考えることができました。

検索のためだけの記事を書くというより、

仕事をしていて実際に考えたこと。

やってみて分かったこと。

昔はこう考えていて、今はこう考えていること。

そういうものを残していきたい。

それが検索結果に出るかもしれない。

SNSで切り取られるかもしれない。

AIが情報源として使うかもしれない。

誰かが直接ここへ読みに来るかもしれない。

入口はどこでもいい。

元になる情報は、ちゃんと持っておきたいと思っています。

06.検索されるのを待つだけではなく、検索される理由をつくる

2019年の記事の最後に、こんなことを書いていました。

検索行動を予測するだけでなく、 創っていく。

— NISHIMURA & Co., 2019

7年経って、ここはあまり変わっていません。

SEOだけをやる。

SNSだけをやる。

広告だけをやる。

AI検索だけを見る。

そういうことでもない。

何度かSNSで見る。

人から聞く。

広告を見る。

検索する。

AIに聞く。

地図を見る。

そして、いつか名前を覚える。

人が情報にたどり着く道は、以前より増えました。

だから私たちは、

検索結果の順位だけではなく、

検索したくなる理由までつくる。

そこまで含めて考えたいと思っています。

ゼロクリックが50%を超えたと書いた2019年。

そして、AIが検索結果の中で答える2026年。

検索の形はずいぶん変わりました。

でも、

見つけてもらうことと、 覚えてもらうこと。

その二つは、今もそれほど変わっていない気がします。