SNSを見るのに疲れている。 でも、情報を得るために、またSNSを開く。
最近、私たちは、この感覚が気になっています。
見たいものがある。知っておきたいこともある。 一方で、次々に流れてくる動画を見続けたあと、何を見たのか、あまり覚えていないこともある。
SNSを使っていることと、その時間を楽しんでいることは、必ずしも同じではありません。
私たちは、その画面に情報を届ける仕事をしています。
だから、再生されたか、クリックされたかに加えて、見ている人が今、どんな気持ちでいるのかを知りたい。
そのために、数字を見ることと、本人の言葉を聞くこと。その両方が必要だと考えています。
01.数字から、考え始める。
私たちは、日々の仕事でデータを使います。
過去の結果と比べる。反応の違いを見つける。 AIで整理し、次に試すことを考える。
人の頭だけでは見切れない量を扱えることも、見落としていた傾向に気づけることも、助けになっています。
ただ、数字から立てた仮説には、こちらの解釈が入っています。
動画を最後まで見たのは、商品が気になったからなのか。話の結末を知りたかったからなのか。 クリックしたのは、欲しくなったからなのか。意味がわからず、確かめたかったからなのか。
記録された行動から考えられることはあります。でも、その理由まで、一つに決まるとは限りません。
AIに分析を頼むときも同じです。渡したデータや情報から、考える手がかりは得られる。ただ、そこに入っていない今の気持ちまで、確かめたことにはなりません。
私たちは、数字から考え始めながら、その解釈を確かめる機会も持ちたいと思っています。
02.DMやコメントにも、今の声が届いている。
SNSアカウントを運用していると、ユーザーからDMが届きます。投稿にコメントがつくこともあります。
質問や、困っていること。 使ってみた感想。 こちらの発信を見て、気になったこと。
そこには、反応の数だけではわからない内容があります。
同じ質問が繰り返し届くなら、こちらが伝えたつもりの情報が、十分に届いていないのかもしれない。
投稿では大きく扱わなかったことに、関心が集まる場合もある。
一つひとつに返信することは大切です。そのうえで、届いた言葉を、次の発信や企画を考える材料にもしたいと思っています。
さらに聞きたいことがあれば、アンケートやインタビューで確かめる。
なぜ、それを選んだのか。 どこで迷ったのか。 何が気になり、何が面倒だったのか。
企業が魅力だと考えている部分と、使う人が喜んでいる部分は、違うかもしれない。
「便利だから使っている」と「好きだから使っている」も違います。
SNSも、情報を得るために開いているからといって、もっと多くの動画を見たいとは限らない。
その違いを知らずに、使われている、見られているという結果だけから企画を考えると、相手の気持ちとずれてしまうことがあります。
もちろん、届いた声が、すべてのユーザーを代表するわけではありません。アンケートやインタビューも、質問の仕方によって返ってくる言葉が変わります。
それでも、こちらの想定に合う答えを集めるだけにならないようにしたい。思っていなかった言葉が出てきたときこそ、もう少し聞いてみたいと思っています。
03.その人の実感を通った言葉。
これは、SNSで誰かが発信するときにも、近いことがあると思っています。
企業は、自分たちの商品やサービスについて、伝えたいことを持っています。
一方、実際に使った人、訪れた人には、その人なりに気になったところがあります。
どこがよかったのか。 自分の生活では、どう使えそうなのか。 誰と、どんなときに楽しみたいのか。
その実感を通った言葉には、企業の説明だけでは出てこない具体性があります。
発信者を起用する意味の一つも、そこにあると考えています。
伝えたい項目を渡し、その順番で話してもらうだけでは、その人がどう感じたのかを拾いにくい。
必要な情報を共有したうえで、本人が何に目を向け、どんな言葉で話すのかにも耳を傾ける。
発信をつくる仕事の中でも、私たちは、受け取る側の感覚に触れることができます。
「こちらが伝えたいことと、本人が感じたこと。その間を、聞かずに埋めたくない。」
04.今の声を、次の仕事に入れる。
世の中が変わると、人の過ごし方も、情報との付き合い方も変わります。
以前は新鮮だったものに、見慣れているかもしれない。 便利だと思っていたものに、少し疲れているかもしれない。
過去の結果は、今を考えるために使えます。 そこに、今の声も重ねたい。
DMやコメントを読む。 アンケートを取る。話を聞く。現場で会話する。 集まった言葉をAIで整理し、数字と照らし合わせる。 気になる違いがあれば、また聞いてみる。
AIを使うことと、人の声を聞くことは、私たちの中ではつながっています。今の声を集めれば、その声も分析に使える。そこから、こちらだけでは思いつかなかった問いが生まれることもあるはずです。
私たちが知りたいのは、どうすれば反応してもらえるかに加えて、その人が何を求め、何に困り、どんな時間を過ごしたいのかです。
SNSに疲れていても、SNSを開く。
その気持ちに触れたとき、もっと目を引く方法だけを考えていてよいのか、立ち止まります。
今、何なら見たいのか。 何がわかると、うれしいのか。 どんな情報なら、見てよかったと思えるのか。
その答えを、私たちの側だけで決めずに、本人の言葉を聞きながら考えていきたいと思っています。
