人が集まった。
動画が見られた。
商品が話題になった。

それは、ちゃんと成果です。興味を持ってもらうことは、簡単ではありません。

ただ、私たちはそこから先も見ています。

何に興味を持ったのか。
その人は、次に何を期待するのか。
一度きりで終わるのか。また選んでもらえるのか。

プロモーションの全体を考えるとき、私たちは、その人の目線で体験をたどります。

01.言いたいことから、少し離れる。

新商品の特長。施設の魅力。キャンペーンの内容。
企業には、伝えたいことがたくさんあります。

けれど、それを全部並べたところで、相手が気になってくれるとは限りません。

こちらにとって大切な情報も、見る人にとっては、まだ自分に関係のない話かもしれない。繰り返し伝えるほど、押し付けがましくなることもあります。

私たちが考えたいのは、その人がどんな場面で情報に触れ、何を感じるかです。

自分にも関係がありそう。
今度の休みに行ってみたい。
あの人と一緒に楽しめそう。

興味が生まれる理由は、商品の説明の中にだけあるわけではありません。その人の日常や、誰かとの関係の中にあることもあります。

来店してほしい。買ってほしい。応募してほしい。
こちら側の目的はあります。

そこに向かうきっかけを、相手の目線で考える。伝えたいことを整理するときも、この視点を持っていたいと思っています。

02.入口には、入口の役割がある。

話題になる企画。目を引く商品。人を呼べる出演者。

いわゆる「客寄せパンダ」も、入口として働いているなら、私たちはその役割を評価します。

その企画がなければ、存在を知らなかった人がいる。
その人が出ていなければ、足を運ばなかった人がいる。

最初の接点をつくれたことには、価値があります。

そこから継続につながっていないなら、入口を否定する前に、その先を考えたい。

訪れた人が、ほかの商品や店にも興味を持てるか。
一度試した人に、もう一度選ぶ理由があるか。
イベントが終わった後も、関係が続く接点があるか。

最初に興味を持ってもらう仕事と、その後も選んでもらう仕事。それぞれに必要な工夫があります。

入口が機能しているなら、その強みを生かして、次をつくる。
全体を見ることで、そういう判断もできます。

03.どこに興味が向かっているか。

一方で、人が集まっているから、それでよいとも考えていません。

何を目当てに来て、何を選び、どんな関係が残ったのか。

たとえば、特典への反応は大きくても、本来知ってほしい商品には興味が向いていない。一度の利用は増えても、その後の利用にはつながっていない。

これは想定上の例ですが、集まった人数だけを見ていると、こうした違いを見落とします。

LTVという言葉で見るのも、その先です。
一度の購入金額だけでなく、継続して選ばれることで、どんな価値が積み重なるか。

入口で生まれた興味が、事業として育てたい商品や利用につながっているか。継続や収益へのつながりが薄いところにばかり集まっていないか。

もちろん、短期の集客を目的とする企画もあります。すべての施策に、長期の関係づくりを求めるわけではありません。

だからこそ、今回の目的に対して、どこまでつながれば成果なのかを考える。

同じ「人が集まった」でも、その意味は変わります。

「興味を持ってもらえた。その先に、何があるか。」

04.全体を見るとは、人の体験をたどること。

SNSの投稿を見て、その場で行動する人もいれば、後から検索する人もいる。誰かに話して、しばらく経ってから訪れる人もいる。

私たちはSNS、広告、Web、店頭と分けて仕事をします。
でも、その人が触れるのは、同じ商品や場所です。

SNSで気になった雰囲気は、Webでも伝わっているか。
行きたいと思ったとき、必要な情報が見つかるか。
実際に訪れた体験は、期待につながっているか。
帰った後に、また思い出す理由があるか。

その途中には、期待も、迷いも、安心もあります。

私たちがカスタマージャーニーを考えるときも、接点と行動を並べるだけでは足りないと思っています。

何を見たかに加えて、何を感じたか。
次に進みたくなったのか。気持ちが止まったのか。

こちらが描いた順番どおりに動くとは限らないことも含めて、その体験をたどります。

入口が弱ければ、興味を生む工夫をする。
入口が働いているなら、その先につながる施策を考える。
興味が目的と違う方向に向いているなら、伝え方や届け先を見直す。

何に手を入れるかは、時と場合によります。

私たちは、目の前の投稿や企画をつくるときも、それが全体の中でどう働くかを考えています。

見た人の気持ちが、どこで動き、その先に何があるのか。
人が集まったという結果を、次の仕事につなげるために。