CM動画を、SNSでも届けたい。 イベントの告知として投稿し、そのまま広告にも使いたい。
私たちの仕事でも、よくある流れです。
映像を受け取り、媒体に合わせてサイズや尺を調整する。投稿文を考え、配信を準備する。
そのとき、映像の中に入っている音楽を、どこまで使えるのか。
正直に言うと、私たちも、その違いを十分に意識できていなかった場面がありました。
Instagram、X、TikTok、YouTube。同じ動画を届ける場合でも、音楽の扱いは同じではありません。
今回は、私たち自身の確認も兼ねて、企業の告知やCM動画で気をつけたいことを整理します。
01.CMとして使えることと、SNSで使えること。
完成したCM動画を受け取ると、そのままSNSでも使えると思ってしまいがちです。
ただ、テレビCMでの利用が認められていることと、SNSへの投稿や広告配信まで認められていることは、分けて確認する必要があります。
音楽の契約が、どの媒体、どの期間、どの地域での利用を含んでいるか。短く編集したり、別の映像と組み合わせたりすることも、その条件に入っているか。
映像のデータだけでは、そこまではわかりません。
また、音楽には、歌詞やメロディーなどの楽曲そのものの権利と、録音された音源に関する権利があります。
JASRACの管理楽曲を使う場合でも、市販の音源などを利用するなら、音源製作者やアーティストの権利について、別途許諾が必要になります。
「この動画は使えますか」という確認だけでは、話がすれ違うこともありそうです。
私たちが届けたい場所と使い方を、具体的に伝えて確認する。その必要性を、改めて感じました。
02.告知の投稿と、広告配信。
もう一つ、混同しやすいのが「広告」という言葉です。
SNSの実務では、広告費をかけて配信するものを広告と呼び、通常の投稿とは分けて考えます。
でも、音楽の利用では、広告費をかけているかどうかだけで決まるわけではありません。
JASRACは、企業や商品・サービスの広告内容と楽曲を組み合わせて動画などを制作する利用を「広告目的複製」として案内しています。企業の宣伝や告知を目的とする動画は、通常投稿であっても、この確認が関わってきます。
そのうえで、動画を投稿する場合と、広告枠へ出稿する場合でも、手続きが異なります。
JASRACと契約している動画投稿サービスでは、通常の投稿について、投稿者による個別の配信手続きが不要になる場合があります。一方、YouTubeやInstagramなどの広告枠への出稿には、JASRAC管理楽曲の広告展開利用の手続きが案内されています。制作時の許諾や音源側の権利まで、すべて不要になるという意味ではありません。
投稿できたから、そのまま広告にも使える。
私たちも、その流れを一度立ち止まって確認したいと思っています。
03.同じ動画でも、媒体ごとに違う。
媒体内で選べる音楽にも、用途の違いがあります。
通常の音楽ライブラリは、個人的・非商用の利用を想定しています。企業の告知や広告には、商用利用に対応するSound Collectionや、必要な許諾を得た音楽などを検討することになります。
選択画面に曲が出てくることと、その用途で使えることは別です。
TikTok
商用利用向けのCommercial Music Library(CML)が用意されており、企業の通常投稿、動画広告、ブランドコンテンツでの利用が案内されています。
一方、一般の音楽ライブラリは商用利用向けではありません。持ち込んだCMの音源や、ほかの人のオリジナル音源についても、必要な許諾を確認することになります。
YouTube
YouTube Studioのオーディオライブラリには、動画で使える音楽や効果音があります。ただし、曲によってクレジット表記などの条件があります。
Shortsで選べる音楽と、オーディオライブラリの音楽、持ち込んだCMの音源を、一括りにはできません。広告に使う場合も、通常の投稿とは分けて確認します。
X
2026年10月13日時点で、XはJASRACが公表する契約済みUGCサービスの一覧に掲載されていません。ただし、この一覧は公表に同意したサービスを載せたものなので、掲載がないことだけで契約の有無を断定することはできません。
ほかのSNSと同じ扱いだと決めず、楽曲の管理先やサービス側に、配信に必要な許諾・手続きを確認したいところです。
媒体内の音楽をつけた動画を保存し、別のSNSにも載せる。その場合も、元の媒体で使えることを、そのまま別の媒体で使える根拠にはできません。
四つの媒体に同じ動画を届けるなら、音楽も、その四つでの使い方に合っているかを見る必要があります。
「投稿できたことと、使う許可があることは、同じではない。」
04.音楽を選ぶときに、届ける先も考える。
映像に合う音楽があると、雰囲気は大きく変わります。
テンポや余韻、言葉の聞こえ方。その動画を見たくなる理由にも、音楽は関わっています。
だからこそ、最後に使えないとわかって差し替えると、映像の組み立てから考え直すこともあります。
制作を依頼するとき、完成した映像を受け取るとき。その段階で、投稿先と広告利用の予定を共有しておく。
Instagram、X、TikTok、YouTubeのどこで使うのか。 誰のアカウントから投稿するのか。 広告にも使うのか。 いつまで、どの地域に届けるのか。
そして、誰が何を確認し、どこまで許諾を得ているのかを、後からわかる形で残しておく。
こうしたことを、私たちも仕事の進め方にきちんと入れていきたいと思っています。
一つの動画を、いろいろな場所で使えるようになった。その便利さに、音楽の確認が追いついていなかった部分もありました。
今回整理したことを、次に受け取る動画、次につくる動画から生かしていきます。
※媒体の規約や音楽の利用条件は変わります。本稿は2026年10月13日時点の公式情報をもとに整理しています。実際の利用は、使用する楽曲・音源の契約条件と、配信先の最新ルールを確認してください。
