撮影前に、動画の構成案を共有してほしい。
最近、そういう依頼が増えています。
どんな動画になるのか。何を紹介し、どんな流れで見せるのか。依頼する側が、事前に確認しておきたいのは自然なことだと思います。
私たちも、伝えたいことや撮影の方向性を、先に共有しておくことは大切にしています。
ただ、現場を見る前に決められることには、限界があります。
資料の中では気づかなかった魅力が、現地ではすぐに見えることがある。想定していた場面より、目の前で起きていることのほうが、ずっとよいこともある。
そのとき、構成を変えられるか。
撮影前の準備と同じくらい、私たちはそこが気になっています。
01.構成案で、共有しておきたいこと。
何を伝える動画なのか。 誰に見てもらいたいのか。 見たあと、何に興味を持ってもらいたいのか。
撮影前に、こうした方向を揃えておくと、現場での判断もしやすくなります。
必ず紹介する情報や、撮影できない場所、表現上の条件もある。関係者が多い仕事では、先に確認しておくことで進めやすくなる部分もあります。
構成案には、そのための役割があります。
私たちが気になるのは、そこから先です。
どの場面を何秒使い、どんな順番で並べ、どんな言葉を重ねるか。現場をまだ見ていない段階で、それらを細かく決め切ろうとすると、想像で埋める部分が増えていきます。
もちろん、決まった演出を撮る仕事もあります。
一方で、現地を取材し、そこで見つけた魅力を届ける動画では、撮影前の構成を仮のものとして持っておきたい。現場で確かめてから、判断したいことが残っています。
02.現場で、見え方が変わる。
資料に書かれた特徴を読んで、撮る場面を考える。
そこまでは、撮影前にもできます。
でも、実際にその場所へ行くと、どこに目が向くかは変わります。
光の入り方。人の動き。音。 話を聞いて初めてわかること。 紹介する人が、何気なく見せる表情や手つき。
事前に考えていた説明より、そうした一場面のほうが、魅力をよく伝えることがあります。
反対に、撮れると思っていた場面が、映像にすると伝わりにくいこともある。言葉で読めば特徴的でも、短い動画の中ではわかりにくい場合があります。
現場では、その違いを見ながら撮っています。
何を大きく扱うか。どこは短くするか。 説明を入れるか、映像を見せるか。 今起きていることを、予定より優先するか。
そこで判断できることも、撮影を任せてもらう意味の一つだと思っています。
03.決めた構成を、守ることが目的になる。
事前確認に時間をかけると、構成案には、いくつもの判断が積み重なります。
言葉を直し、順番を変え、関係者の確認を取る。ようやく合意したものを、現場で変えるのは簡単ではありません。
変えた理由を説明し、もう一度確認する必要があるかもしれない。撮影する側も、その後のやり取りを考えるようになります。
すると、目の前でもっとよいものを見つけても、決まった構成に合わせて撮るほうへ進みやすくなる。
現場で探すことや、その瞬間に判断することが、少なくなっていきます。
私たちは、そこに大きな損失があると感じています。
構成案を丁寧につくったことが、完成する動画の良さにつながるとは限りません。その構成から離れにくくなることで、拾えなくなるものもあるからです。
「現場で見つけた良さを、構成案の外に置き去りにしたくない。」
依頼する側も、つくる側も、よい動画にしたい。そのために確認しているはずです。
だから、事前に何を決めるかと一緒に、現場で何を判断できるようにしておくかも、共有したいと思っています。
04.準備したうえで、現場でも考える。
現場で判断するには、準備が必要です。
目的や伝えたいことが曖昧なままでは、よさそうなものを撮っても、その動画に必要な場面かどうかを決めにくい。
先に調べ、話を聞き、撮る方向を考えておく。そのうえで現地に行き、想定と目の前のものを照らし合わせる。
準備した構成が、そのままよい場合もあります。 一部を変えたほうがよい場合もある。 現場で見つけたものから、組み立て直したくなることもあります。
その余地を残しておきたい。
事前に合意した条件を勝手に変えるわけにはいきません。だからこそ、必ず守ることと、撮影時に判断することを、先に話しておく必要があります。
私たちも、構成案を共有するときに、その違いが伝わるようにしていきたいと思っています。
現場に行き、見て、聞いて、撮る。
その時間の中で、動画がよくなる可能性がある。撮る前に考えたことを持ちながら、撮っている間も考え続けたいと思っています。
