企業のSNSを見ていると、ときどき「これは誰に話しているんだろう」と思う投稿があります。

でも、それはたぶん、投稿をつくっている側も、誰に話しているのか分かっていない状態です。

誰に向けた言葉なのか。 誰に見てほしい画なのか。 誰に何を感じてほしいのか。

そこが曖昧なら、見る側も「これは自分の話だ」と思えない。

そしてSNSでは、一瞬で飛ばされます。

01.頭に残るものは、ほんのわずか。

私たちは毎日、何万、何十万という言葉や情報に触れています。

UC San Diegoの2009年の調査では、平均的なアメリカ人が1日に消費する情報は、約34GB、言葉にすると約10万語相当と推計されています。

一方で、人が一度に意識の中に保持できる情報は、3〜5個程度だとする研究があります。

もちろん、「1日に10万語触れて、そのうち3〜5個しか覚えていない」という意味ではありません。

ただ、流れてくる情報の量に対して、人が意識を向け続けられるものはごくわずかです。

SNSも同じです。

たくさん表示される投稿の中で、

誰かの脳裏に残る。

そこまでいければ、かなり強いと思っています。

02.「みんなに」は、誰にもならない。

企業だから、できるだけ多くの人に見てほしい。

それは当然です。

でも、だからといって一つの投稿を「みんな」に向けてつくると、急に言葉が弱くなることがあります。

20代にも。 30代にも。 家族にも。 観光客にも。 地元の人にも。

全部に届かせようとすると、結局、誰も自分に話しかけられている感じがしない。

アカウント全体で、一人だけに話し続ける必要はありません。

投稿によって相手が変わってもいい。

今日は初めて来る人。 次は何度も来ている人。 別の日は、まだその商品を知らない人。

大事なのは、その投稿をつくるときに、

今、誰に話しているのか。

が決まっていることです。

03.年齢と性別を決めればいいわけでもない。

「20代女性に向けます。」

それだけでは、まだ少し遠い。

同じ20代女性でも、知りたいことは違います。

初めて店を探している人なのか。 休日の行き先を探している人なのか。 すでに商品を知っていて、買う理由を探している人なのか。

私たちが考えたいのは、細かなペルソナ表をつくることではありません。

この投稿を見た瞬間に、「自分のことかも」と思う人は誰なのか。

そこです。

誰に話しているのか分からない投稿は、誰の脳裏にも残りにくい。

04.企業が話すのではなく、人に話す。

企業アカウントになると、不思議と文章が企業の言葉になります。

「このたび開催いたします」 「ぜひご利用ください」 「多くの皆さまにお楽しみいただけます」

間違ってはいません。

でもSNSの向こうにいるのは、「皆さま」という集団ではなく、一人ひとりの人です。

その人が今、何を見ていて、何を探していて、何なら少し指を止めるのか。

投稿をつくる前に考えるのは、そこだと思っています。

企業アカウントは、企業が言いたいことを置いておく掲示板ではありません。

誰かに話しかける場所です。

だから最初に決める。

この投稿は、誰に話すのか。

そこが決まれば、言葉も、画も、企画も変わります。

そして、その誰かの脳裏に残る可能性が少しだけ上がる。

私たちは、企業SNSをそう考えています。