「これ、行ってみたい。」

子どもが見つけた動画を、親に見せる。

反対に、親が見つけたイベントを「これ、どう?」と子どもに見せることもある。

家族のお出かけは、一人が情報を見て、その場で決めるとは限りません。

興味を持つ人がいて、一緒に考える人がいる。費用や移動、予定を確かめる中で、行き先が決まっていく。

商業施設やイベントの発信を考えるとき、私たちは、その間にある会話にも目を向けたいと思っています。

誰の画面に届けるかに加えて、その情報が、家族の中でどう受け渡されるかです。

01.子どもが見ている場所は、一つではない。

α世代という言葉を聞くと、スマホやショート動画を思い浮かべるかもしれません。

ただ、年齢によって情報との接し方は違います。自分のスマホを持っている子もいれば、家族の端末や、リビングのテレビ画面で動画を見ている子もいる。

博報堂DYのメディア環境研究所による2026年の調査レポートでは、小学1年生から中学3年生1,500人へのインターネット調査と、生成AIを使う子ども8人へのインタビューが紹介されています。テレビ画面での動画視聴に加え、人の話やイベントなども、新しい興味に出会う接点として挙げられています。

この結果から、すべての子どもが同じように情報を得ているとは言えません。

むしろ、私たちが考えたいのは、子どもへの情報の届き方を、一つに決めないことです。

本人が動画で知る。 友達から聞く。 親が見つけたものを、一緒に見る。

家族向けの企画でも、最初に興味を持つ人や、その入口はいくつもあります。

02.「楽しそう」のあとに、親が考えること。

子どもが行きたいと思ったあと、親には確かめたいことがあります。

どこで開催されるのか。 何歳くらいから楽しめるのか。 家族で行くと、どのくらい費用がかかるのか。 きょうだいも一緒に過ごせるのか。

楽しそうだと思っても、それだけでは予定に入れにくい場合があります。

KADOKAWAの「ヨメルバ」が2026年8月に会員へ実施した調査では、18歳未満の子どもがいる回答者402件について、お出かけの悩みとして費用や暑さ・寒さへの対応などが挙がっています。会員を対象とした調査ですが、興味を持ったあとにも、家族で出かけるための検討があることを考える参考になります。

私たちは、こうした情報を、魅力を伝えたあとの細かな補足だけにはしたくありません。

親が「それなら行けそう」と思えることも、来てもらうための大切な情報です。

楽しみ方が見える映像と、行くために必要な案内。その両方がつながっているかを考えます。

03.親から、始まることもある。

一方で、子どもが見つけて、親が判断する。その順番だけでもありません。

親が、体験させてみたいと思うこともあります。

普段とは違うものに触れてほしい。 好きなことを、もう少し広げてほしい。 一緒に楽しめる場所へ行きたい。

ただ、親がよいと思う理由と、子どもが楽しみにする理由が、同じとは限りません。

親には学びのある企画に見えても、子どもは、そこで何をして遊べるのかが気になるかもしれない。

展示のテーマを説明することと、自分がそこで何に出会えるかを伝えることでは、見せる場面も変わります。

たとえば、体験型の企画なら、体験している様子が見えることで、親も子どもへ紹介しやすくなる。

「ためになりそう」で止まらず、「これ、一緒にやってみようか」という会話につながるか。

発信を考えるときには、そんな見方も持っておきたいと思っています。

「子どもの『行きたい』と、親の『一緒に行こう』。その間にも、届けたい情報がある。」

04.家族で選ぶための情報を。

広告のターゲットを決めるとき、年齢や地域、関心を考えます。

家族向けの企画であれば、親世代へ届けることは、一つの選択肢です。

ただ、配信する相手を決めたあとも、考えることは残っています。

その人は、自分のために見ているのか。 子どもに合うものを探しているのか。 見つけた情報を、家族にどう伝えるのか。

一人の親に届いた情報が、家族の会話に入る。そのとき、何を楽しめるのかがわかり、必要な条件も確かめられるようにしておきたい。

一本の動画ですべてを説明する必要はありません。

興味を持つ入口になる動画があり、詳しい内容を見られる投稿やWebがある。親子で一緒に見ながら、行くかどうかを考えられる。

私たちは、その流れを組み立てたいと思っています。

α世代を知ることは、子どもに響く表現を探すことだけではないはずです。

何に興味を持ち、誰と話し、どう選んでいるのか。そこには、親の楽しみや、家庭ごとの事情もあります。

「欲しい」「行きたい」と言う人。 購入や予約をする人。 当日、一緒に楽しむ人。

その役割は、家族の中でも、場面によって変わります。

私たちは、一人に届いた反応の先にある、家族で選ぶ時間まで考えて発信していきたいと思っています。