広告を配信すると、Creativeごとに異なる数字が出ます。

動画の維持率が高い。

CPCが安い。

狙った年代へ届いている。

購入や申込につながっている。

数字を見ることは重要です。

ただ、一つの数字だけを取り出して、Creativeを残すか、止めるかを決めているわけではありません。

維持率が良くても、クリックにつながっていないことがあります。

CPCが安くても、その先の成果につながっていないことがあります。

CVが出ていても、まだ件数が少なく、傾向とは言い切れないことがあります。

NISHIMURA & Co.では、広告で出た数字をCreativeの順位表として見るのではなく、次に何を確認し、どこを直し、どこへ予算を寄せるかを考える材料として見ています。

01.一つの数字だけでは、決めない。

たとえば、複数の動画広告を配信したとします。

あるCreativeは、ほかより動画の維持率が良い。

しかし、CPCは高い。

別のCreativeは、維持率は特別良くないものの、CPCは安い。

さらに別のCreativeは、クリック数は少ないものの、CV単価が最も良い。

このとき、CPCだけを比べて、安いCreativeを残すわけではありません。

維持率が良いのにCPCが高いのであれば、まず動画の中身を見ます。

なぜ見続けられているのに、クリックにはつながっていないのか。

動画としては面白いが、商品やサービスへの関心とは別の理由で見られているのか。

数字を見たあと、Creativeへ戻って考えます。

同時に、クリックで判断を終わらせることもしません。

NISHIMURA & Co.では、Creativeごとに別のパラメーターを付け、遷移後のCVまで確認します。

CPCが高くても、実際には購入や申込につながりやすい、温度の高い人を連れてきている可能性があるからです。

反対に、CPCが安く、多くのクリックを集めていても、その先の成果につながっていなければ、それだけで強いCreativeとは言えません。

安いクリックを連れてくるCreativeが、必ずしも良いCreativeではない。

購入や申込を目的としている案件なら、そこに近い数字をより重く見ます。

CV単価が最も良いCreativeは、現時点では強い候補です。

ただし、CVが数件出た段階で、勝ちCreativeが決まったとは考えません。

狙った年代へ届いているCreativeも同じです。

届けたい相手へ届いていること自体は良い。

ただ、届いたことだけで満足せず、その先の反応や成果まで見ます。

指標のどれか一つを正解にするのではなく、案件の目的に近いところまで数字をつなげて確認します。

02.比べるのは、外部平均ではなく近い条件。

広告の数字を確認するとき、比較する相手も重要です。

インターネット上には、「Meta広告の平均CPC」や「業界平均CPM」といった数字があります。

NISHIMURA & Co.では、それらを案件の良し悪しを判断する基準にはしていません。

同じ業界としてまとめられていても、地域、年代、商材、目的、Creative、配信量などの条件は異なります。

条件の異なる案件を大きくまとめた数字と比べても、いま配信しているCreativeが強いのか、改善が必要なのかは判断できません。

日本の平均年収が分かったとしても、それだけで、ある一人の適正な年収が決まるわけではない。

それに近い違和感があります。

私たちがまず見るのは、自分たちが持っている過去の実績です。

同じクライアントであれば、前回や前々回の配信結果と比べます。

その間に、Creativeの何を変えたのか。

切り口やターゲット、LPまでの導線を変えたのか。

配信時期に違いはあったのか。

数字の差だけではなく、その間に何が変わったのかまで確認します。

初めて取り組むクライアントであれば、同業の案件や近い商材、似たターゲット、似た地域、似た目的の案件を探します。

条件が完全に同じ案件はありません。

それでも、広い外部平均と比べるより、自分たちが実際に関わった近い条件の中で、これまで何が起きたかを見た方が、次の判断につながります。

比べるのは、一般的な平均ではなく、この案件に近い条件で起きたこと。

同じクライアントで前回より数字が悪くなった場合も、すぐに前回より悪いCreativeだとは決めません。

ターゲットが変わっていれば、同じクライアントでも別の条件です。

配信時期が違えば、市場の状況も変わります。

年末のように広告出稿が増える時期は、通常の時期と同じ条件では見られない可能性があります。

数字だけを並べるのではなく、比較できる条件がどこまで揃っているかを確認します。

03.母数が少ないまま、答えを急がない。

広告を配信してCVが出ると、そのCreativeを残したくなります。

特に、ほかのCreativeよりCV単価が良ければ、強い候補として見ます。

ただ、CVが3件出た、20件出たというだけで、勝ちCreativeを確定するわけではありません。

件数が少ない段階では、偶然の影響も含まれています。

もう少し配信しても、同じ傾向が続くのか。

配信量を増やしたあとも、その傾向が続くのか。

現時点の数字だけでは分からないことがあります。

ある程度まとまった配信量を取って、ようやく傾向が見えてくることがあります。

ただし、必要な配信量は、商材、CPA、媒体、ターゲットによって変わります。

一方で、すべてのCreativeに十分な予算を使える案件ばかりではありません。

母数が少ない状態でも、次にどのCreativeへ予算を寄せるかを決めなければならないことがあります。

そのときは、前回や前々回、近い商材、近いターゲットの実績と合わせて見ます。

限られた数字の中で、どこまで言えるのか。

まだ何を確定できないのか。

その区別をつけながら、次の配信を決めます。

また、結果が悪かったあとに、商品や配信量だけを理由として持ち出すことには慎重です。

商品自体は、NISHIMURA & Co.の側で変えられないことが多くあります。

配信量や予算も、その条件で施策を進めると決めたうえで始めています。

商品や予算が結果に影響しないわけではありません。

ただ、結果が出たあとにそれだけを説明に使うのではなく、与えられた条件の中でCreativeに改善できる部分がなかったかを先に考えます。

04.数字が悪ければ、Creativeへ戻る。

前回より数字が悪くなったとき、NISHIMURA & Co.がまず見るのはCreativeです。

どの数字が悪くなったのか。

どのCreativeで起きているのか。

ターゲットや配信条件を揃えても、同じ差があるのか。

そこまで確認したうえで、実際の動画をもう一度見ます。

数字の表だけを見ていても、なぜその結果になったのかは分かりません。

動画としては見続けられているのに、商品への関心につながっていないのか。

クリックは少なくても、その先のCVにはつながっているのか。

狙った相手へ届いたあと、どのような反応が起きているのか。

数字と実際のCreativeを行き来しながら、結果の理由を探します。

維持率が悪いからCTAを変える。

CPCが高いからテロップを増やす。

そのように、指標と修正箇所を一対一で結びつけることはしません。

数字は、どこを疑うかを考える材料です。

その数字が出たCreativeを見て、次に何を試すかを決めます。

05.最初の3秒から、切り口を見直す。

動画の維持率が悪い場合、まず考えるのは、そもそもの切り口がよかったかです。

NISHIMURA & Co.でいう「企画」は、かなり「切り口」に近い意味で使っています。

誰の、どのような場面から商品を見せるのか。

何を入口にして、続きを見てもらうのか。

商品のどの価値を中心に置くのか。

その切り口で、強い冒頭をつくれるのか。

切り口を確認したうえで、特に最初の3秒を見ます。

維持率が早い段階で落ちているのであれば、動画の後半まで到達する前に結果が出ているからです。

ただし、「3秒以内に商品を出せばよい」という固定ルールではありません。

最初から商品を見せた方がよい案件もあります。

商品をすぐには見せず、内容への関心をつくってから見せた方がよい案件もあります。

どちらがよいかは、商品、ターゲット、インフルエンサー、切り口によって変わります。

切り口自体が弱ければ、冒頭の言葉や映像だけを変えても、大きく結果が変わらないことがあります。

反対に、切り口は良くても、最初の見せ方が弱く、内容へ入る前に離脱されていることもあります。

その場合は、切り口を残したまま、冒頭のフックを見直します。

フックだけを直すのか。

別の切り口を試すのか。

ここに固定の判断ルールはありません。

実際に動画を作っているインフルエンサー本人の感覚。

NISHIMURA & Co.の制作側の感覚。

社内にいる複数のインフルエンサーの感覚。

これまで大量のCreativeを見てきた経験。

それらを持ち寄り、数字と動画の両方を見ながら考えます。

感覚だから、根拠がないということではありません。

日常的に多くのCreativeを作り、見て、配信結果を確認してきた経験が判断に入っています。

ただ、その経験だけで必ず正解を出せるわけでもありません。

だから、次のCreativeを作り、もう一度反応を見ます。

維持率が悪い段階で、CTAなど動画の末端にある要素から優先的に直すことは多くありません。

CTAが結果へ影響することはあります。

ただ、冒頭で見られていない動画なら、CTAへ到達する人も少ない。

まず切り口を見て、冒頭のフックを見て、その先の構成を確認します。

06.勝ったCreativeを、そのままコピーしない。

強いCreativeの候補が見つかったら、次のCreativeへ展開します。

同じインフルエンサーに、別のパターンを作ってもらうことがあります。

別のインフルエンサーに、近い切り口を試してもらうこともあります。

NISHIMURA & Co.の実務では、別のインフルエンサーへ展開する方が多い傾向にあります。

ただし、それも起用人数や案件全体の設計によって変わります。

大切なのは、勝ったCreativeをそのままコピーしないことです。

たとえば、冒頭だけを別の映像に差し替えれば、同じ強さを持つ別Creativeになるとは限りません。

冒頭の変え方によって、動画全体の形式や意味が変わることがあります。

最初の数秒だけを切り離さず、そのあとに続く内容との関係まで見ます。

あるCreativeが20代に強く反応されたからといって、同じものを50代へそのまま展開するわけでもありません。

考えるのは、

インフルエンサー。

切り口。

ターゲット。

この三つの組み合わせです。

誰が伝えたから機能したのか。

どの切り口が、その人に合っていたのか。

その見せ方が、どのターゲットに届いたのか。

組み合わせの中で、何が結果につながったのかを考えます。

次へ残すものも、案件ごとに違います。

動画の形式かもしれません。

切り口や最初の3秒かもしれません。

インフルエンサー本人、商品の見せ方、テンポかもしれません。

毎回同じ要素を抜き出して、普遍的な型にはしません。

その案件では何が強さの中心だったのかを考え、次のCreativeへ残すものを決めます。

07.施策全体の目標から、予算を動かす。

配信結果を確認したあとは、Creativeを直すだけではなく、予算の配分も変えます。

良いCreativeがあれば、そこへ予算を寄せます。

数字が微妙でも、案件全体の目標から見て許容できる範囲であれば、予算を大きく下げて残すことがあります。

このまま配信を続けると、施策全体の目標を達成できない水準であれば、停止します。

残すか、切るかの二択ではありません。

配信量を抑えながら、もう少し結果を見る。

別のCreativeへ予算を移す。

新しい切り口を追加し、その反応と比べる。

案件の状況に合わせて調整します。

固定の停止ラインはありません。

CPCがいくらを超えたら止める。

維持率が何%を下回ったら止める。

CVが何件出なければ止める。

そのような共通の基準を、すべての案件へ当てはめることはしていません。

見るのは、各Creative単体の数字だけではありません。

そのCreativeを残したときに、施策全体の目標を守れるか。

予算を寄せたときに、成果を伸ばせる可能性があるか。

母数が少ない段階で、もう少し確認する余地があるか。

それらを合わせて判断します。

広告の数字を確認することは、運用結果を報告するためだけの作業ではありません。

何と比べるかを考える。

Creativeへ戻る。

切り口や冒頭を見直す。

次に残すものを決める。

別のインフルエンサーへ展開する。

施策全体を見ながら、予算を動かす。

配信して得られた数字を、その場の評価で終わらせず、次のCreativeと次の配信へ返していきます。